1ユニットが9人の理由
有料老人ホームや介護保険施設の定員とは違い、グループホームの定員は「ユニット」という単位で表されています。1つのユニットは最大9人となっており、多くの施設で「定員:2ユニット18人」という表記を目にすると思います。
この「1ユニット=9人」というのは、当然ですが適当に決められたものではなく、きちんとした理由があります。
グループホームは、前述の通り認知症高齢者を入居対象とした施設です。認知症の高齢者には、新しい物事や、新しく出会う人を覚えたり、認識したりするのが難しいという特徴があります。
そのため、例えばですが、100人もいるような施設で、入居者や職員が入れ替わり立ち代わりするような生活環境では、本人が心を落ち着けて暮らすことが難しくなってしまうのです。それどころか、認知症の症状が悪化して問題行動の引き金になってしまう可能性すらあるのです。
そうした状況になってしまうことを防ぐための、1ユニット=9人、というわけです。
9人~18人という住居環境では、長く生活するうちに入居者同士、または施設職員とも理解し合える関係を築くことが可能になり、お互いが理解し、信頼関係を築くことでユニットという小さな単位ではありますが、社会生活を営むことができるようになるのです。
グループホームの目的でもある「できるだけ家庭に近い環境で、地域社会に溶け込んで生活する」ことが可能になり、さらには認知症の症状の進行を遅らせることにもつながり…と、大きな意味を持っているのが1ユニット=9人の理由なのです。